③ 少しずつ現実味を感じ始めたこと

正直、見学へ行くまでは、施設へ入ることにかなり抵抗がありました。
どこか、
「家へ戻せない」
という感覚もあったんです。
でも実際に見学をして、話を聞いて、弟とも話していくうちに、少しずつ現実味を感じ始めました。
もちろん、まだ正式に何かが決まったわけではありません。
病院側から正式に退院の話が出ているわけでもない。
それでも、もし今後そういう方向へ進むなら、今回見学した施設はかなり現実的な候補になるのかもしれないと思いました。
その日の夜には、子どもたちにも少し話をしました。
今でも、私に用事があったり、仕事やバイトで行けなかったりする時は、子どもたちに病院へ洗濯物を取りに行ってもらうことがあります。
だから、
「もし施設になっても、顔見に行ってくれる?」
と聞いてみました。
返ってきたのは、
「うん、行くよ」
という言葉でした。
近い場所なら、今までと同じように、私が忙しい時は子どもたちに洗濯物を取りに行ってもらうこともできます。
そのついでに、母の顔も見てもらえる。
孫たちが時々顔を見せてくれたら、母も少しは寂しくないかもしれない。
そんなことを考えていました。
ただ、まだ一番大事なことが残っています。
母本人へ話をしに行くことです。
母自身は以前、
「施設でも自宅でも、あんたらのやりやすい方にして」
と言ってくれています。
ただ、最初は私たちも自宅へ戻る方向で考えていたので、その先のことまではあまり話していませんでした。
今の状態のままなら、施設という選択肢も現実的に考えている。
そのことを、きちんと母へ伝えなければいけません。
正直、それを考えるのが一番しんどいです。
すぐに、というわけではありません。
たぶん、あと1〜2週間くらい先になると思います。
今はまだいろいろとバタバタしていますし、病院側から正式に退院の話が出ているわけでもありません。
それでも、近いうちに、ちゃんと母へ伝えに行かないといけないんだろうなと思っています。
おわりに
まだ何も決まったわけではありません。
でも、実際に施設を見に行って、弟とも話をして、少しずつ現実と向き合い始めた一日でした。
見学へ行く前までは、施設という場所に対して、もっと暗いイメージを持っていました。
どこか、
「家へ戻れない」
という気持ちの方が強かったんだと思います。
でも実際に見てみると、思っていたより普通に生活している場所でした。
もちろん、不安がなくなったわけではありません。
母へどう伝えるのか。
これから本当にどうなっていくのか。
考え始めると、今でも気持ちは揺れます。
それでも、見ないふりをしたままでは進めないことなんだと思っています。
一つずつ話をしながら、少しずつ整理していくしかないのかもしれません。
秋山紅葉



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