③ 初めて聞くことができた愛犬ちゃんの鳴き声

愛犬ちゃんの前に、ピンクの豚のおもちゃを置きます。
すると、まだ音を鳴らしていないのに、
「ウ~。」
愛犬ちゃんが豚のおもちゃに向かって唸り始めました。
「本当にこの豚が嫌いなんだ。」
そう思いながら、私は豚のおもちゃを押して音を鳴らしてみました。
すると、
「ワン。」
愛犬ちゃんが一声、鳴きました。
本当に一声だけでした。
その後はまた、
「ウ~。」
と豚のおもちゃに向かって唸っています。
でも、私にとっては、その一声で十分でした。
「ちゃんと鳴けるんや。」
昨日まで、愛犬ちゃんがまったく鳴かないことが気になっていました。
もしかすると声帯に何かあるのではないか。
何か体に問題があるのではないか。
そんなことまで考え、子犬が鳴かない理由をいろいろと調べていました。
でも、愛犬ちゃんはちゃんと鳴くことができました。
一声でも、その鳴き声を自分の耳で聞くことができて、ほっとしました。
愛犬ちゃんにとっては、大嫌いな豚のおもちゃをわざわざ目の前に出され、音まで鳴らされて、いい迷惑だったと思います。
その後も愛犬ちゃんは、豚のおもちゃに向かって唸り続けています。
さすがにかわいそうになり、豚のおもちゃは愛犬ちゃんから見えないところへ隠しました。
主人が愛犬ちゃんのために買ってきたものの、娘たちからは不評だったピンクの豚のおもちゃ。
愛犬ちゃんにとっては苦手なおもちゃでしたが、私にとっては、昨日から抱えていた心配を一つ解消してくれたおもちゃになりました。
そして、気になっていたことが一つ分かったところで、家を出る時間になりました。
愛犬ちゃんが我が家へ来て6日目。
初めて聞いた鳴き声は、ピンクの豚のおもちゃに向かって鳴いた、一声の「ワン」でした。
おわりに
愛犬ちゃんが鳴かないことを心配していた翌日、ようやく一声だけ「ワン」と鳴くのを聞くことができました。
私の心配は一つ減りましたが、愛犬ちゃんにとっては、苦手な豚のおもちゃを出されて迷惑だったと思います。
今ではちょっとした物音にもよく吠える愛犬ちゃん。あの頃の静かさが懐かしくなることもあります。
まだ迎えて6日目だったこの頃は、そんな愛犬ちゃんのことを一つずつ知っていく毎日でした。
秋山紅葉



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