③ 「税理士はもういい」|資格よりも何か一つ頑張ってほしかった

「税理士はもういい。」
長女ちゃんからそう言われました。
それだけなら、まだ、
「気が変わったのかな。」
と思えたのかもしれません。
でも、そのあと長女ちゃんは、
「私、最初から税理士なんかなりたくなかった。」
「ママがなれって言ったから。」
と言いました。
それを聞いたとき、
「え? なんか話が違うじゃない。」
と思いました。
「自分がなりたいって言ったんじゃないの?」
という気持ちでした。
高校生の頃から、税理士になりたいという話をしていました。
大学を選ぶときにも、税理士の資格を取ることを考えて、今の学部を選んだんじゃなかったの?
私はそう思いました。
大学に入ってからも、9月から資格の学校で税理士の勉強を始められたらいいねと、二人で話していました。
私が一人で勝手に決めていたわけではありません。
それが今になって、
「最初からなりたくなかった。」
「ママがなれって言ったから。」
と言われると、
「じゃあ、今までの話は何だったの?」
と思ってしまいました。
でも、私が腹を立てていたのは、長女ちゃんが税理士にならないと言ったことではありません。
税理士にならなくてもいいんです。
税理士を目指して勉強して、そのあと違う仕事を選んでもいいと思っています。
簿記や会計の勉強をしておけば、会社の経理など、別の仕事で役に立つこともあるかもしれません。
何かあったときに使えるものを、一つでも持っていてほしい。
いわゆる「潰しが利く」ものが何か一つあればいい。
私はそんな気持ちで資格のことを考えていました。
少し前にも、長女ちゃんが大学で続けていたことをやめるという話がありました。
それを続けている間は、
「忙しいから。」
と言われることもありました。
家のことまで手が回らないと言われても、
「今は将来のためにやっているんだから。」
と思って、私もある程度は仕方がないと思っていました。
でも、それも途中でやめることになりました。
そして今度は、ずっと目指すと聞いていた税理士も、
「もういい。」
となりました。
一つやめたことだけで腹が立ったわけではありません。
「取る。」
「やる。」
そう言われるたびに、
「今度こそやるのかな。」
と思って応援してきました。
必要なものがあれば買います。
お金がかかっても、それが長女ちゃんの将来につながるのならと思って出してきました。
でも、買ったものをほとんど使わなかったり、始めたことが途中で終わったりする。
それが重なってきました。
親ってバカだから、次こそやってくれるのかなと思うと、また出してしまうんですよね。
でも、さすがにここまでくると、
「ほんまに今度はやるん?」
と思ってしまいます。
だからといって、大学生活を楽しんでほしくないわけではありません。
一浪して入った大学です。
友達と遊ぶのも、アルバイトをするのも、今しかできないことを楽しむのもいいと思っています。
ただ、遊ぶこととは別に、何か一つ打ち込めるものを持ってほしい。
私が長女ちゃんに一番思っているのは、そこなのかもしれません。
私の周りには、学生の間ずっとスポーツを続けていた子もいます。
留学をして、語学を頑張っていた子もいます。
その子たちも、遊ばずにそれだけをやっていたわけではありません。
大学生活を楽しみながら、自分が好きなこと、自分の将来につながることにも取り組んでいました。
長女ちゃんにも、
「私はこれを頑張った。」
と思えるものが一つあればいいのになと思います。
それが簿記でもいい。
税理士でもいい。
まったく違うものでもいい。
私が決めたものではなく、長女ちゃん自身がやりたいと思ったものでいいんです。
だからこそ、
「最初から税理士になりたくなかった。ママがなれって言ったから。」
と言われたことが、私は引っかかったんだと思います。
税理士になってほしかったからではなく、
「自分がなりたいって言ったんじゃないの?」
「だから今まで応援してきたんじゃないの?」
そんな気持ちが残りました。
おわりに
「税理士はもういい。」
今日、長女ちゃんからそう聞いて、私はやっぱり少し腹が立ちました。
税理士にならないことに腹が立ったのではなく、これまで「やる」「取る」と聞くたびに応援してきたことが、また途中で終わってしまうように感じたからだと思います。
本人がやりたいと言えば、親としては応援したくなります。
必要なものがあれば買ってあげたいし、それが将来につながるのなら、お金がかかっても出してあげたいと思ってきました。
だからこそ、それが途中で終わることが重なると、
「今まで応援してきたのは何だったんだろう。」
と思ってしまうこともあります。
この先、長女ちゃんが何をやりたいと思うのかは、まだ分かりません。
税理士ではなくてもいいし、資格でなくてもいい。
ただ、次に「これをやりたい」と思えるものが見つかったときには、今度こそ途中で終わらず、自分なりに頑張ってみてほしい。
今の私が長女ちゃんに思っているのは、たぶんそれなんだと思います。
秋山紅葉


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